お知らせ

2025.05.22
高知県が運営する高知県営渡船の新造船「浦戸」において、当社の電気推進システムが採用されました。
高知県が運営する高知県営渡船の新造船「浦戸」において、当社の電気推進システムが採用されました。
高知県営渡船「浦戸」は、リチウムイオン二次電池を電源とした完全電動船として新たに、大永造船株式会社(所在地: 高知県高知市、代表取締役社長:榊原英之)で建造され、2025年3月31日に高知県に引き渡しされました。
高知県営渡船は、県道弘岡下種崎線のうち、浦戸湾で隔てられた長浜地区の長浜渡船場から三里地区の種崎渡船場までの575メートルを約5分で結んでいます。浦戸湾を横断する重要な交通手段であり、多くの地域住民や観光客に利用されています。これをゼロエミッション船としたことで、世界で大きな課題となっている気候変動問題に取り組んでいきます。
本船の主要目
寸法・・・・・・・・全長15.01m / 全幅 6.80m / 型深さ1.80m
総トン数・・・・・・19トン
速力・・・・・・・・約7ノット
定員・・・・・・・・60名(椅子席旅客20名、立席旅客37名、乗員3名)
推進モーター・・・・大洋電機株式会社製 100kW×2
バッテリー容量・・・370kwh
主配電盤・・・・・・三信船舶電具株式会社製
電気推進システムについて
本船のシステムは、船からプロペラを回す主機関・ディーゼル発電機を撤廃し、推進および一般負荷を全てリチウムイオン電池でまかなう完全電動船です。官公庁が所有する一般定期航路の交通船として、国内初となります。
19トン以下の日本小型船舶検査機構管轄の船では、国内最大級の370kWhのリチウムイオン電池を搭載し、県民の足として1日20往復する交通船に必要な電力を全てまかないます。リチウムイオン二次電池は、長寿命で高速な充放電に強く温度特性に優れた株式会社東芝製のチタン酸リチウムイオン二次電池を採用しており、長期間の運用に耐え、夏の暑さや冬の寒さにも対応可能となっています。
主機関や発電機などの内燃機関を船から全廃したことにより、CO2の排出がない完全ゼロエミッション船となります。推進用モーターは、100kWで両頭船の前後に2軸を備えています。この2軸のシステム(モーター・制御盤・リチウムイオン電池)は完全に独立しており、どちらかの軸のシステムの異常時にも船の運航を停止することなく運用が可能です。騒音や振動、排気ガスなど従来の船が持つ不快な要素を劇的に改善し、新しい乗船体験を実現した船となっています。
また、主配電盤や照明、サーチライトなどの主要な電装電具は、弊社グループの三信船舶電具株式会社が供給しております。
今後の展望
大洋電機株式会社は、今後も地域社会の発展に寄与する製品の提供を続け、環境や社会に配慮した技術革新を推進していきます。高知県営渡船「浦戸」の運行が、地域住民や観光客にとってさらに便利で快適なものとなるよう、引き続きサポートしてまいります。